佐高信・福島みずほ 著
日本国憲法は世界に誇るべき財産である。
湾岸戦争の時、日本に対して、日本人はカネは出すけれども血は流さないという非難が昂まった。その時、高知のある高校生が、好きだったアメリカのコラムニスト、ボブ・グリーンに手紙を書く。もちろん、英語でである。日本には憲法九条があるから軍隊を出さないのだ、と。それを読んだグリーンがそのことをコラムに書き、全米で配信された。
それを読んだアメリカ人たちから、その高校生のところに多くの手紙が寄せられたという。そこには、異口同音に、「知らなかった」「アメリカにも九条がほしい」といった言葉が並んでいた。何ものにもまして、この九条をこそ世界に“輸出”すべきなのではないか。
現実と憲法の間に乖離があるのは、平和の問題だけでなく、基本的人権の問題でもそうです。法の下の平等ひとつとっても実現をしていません。
しかし、だからこそ憲法を努力目標や獲得目標として、現実をダイナミックに変えていくことが必要です。「不断の努力」が憲法によってもしっかり要請されています。
憲法は、一体私たちがどういう社会を作るべきかということについて、語り、希望を語っています。
確かに「政権与党を〈まだマシ党〉に変えること」も重要なのだけれども、やはり護憲は譲れない。悩ましいところではある。変えたつもりが一皮向いたら「同じ顔」ということもありうるのだからね。