2004年11月03日

国旗・国歌の強制(1)

教育と国家/高橋哲哉(講談社現代新書)より

強制の実態についてわかり易い一文がありましたのでご紹介します。まずは教職員への強制から。

第五章 日の丸・君が代の強制

東京都による国旗・国歌の強制
 国のレベルでは新自由主義と新国家主義が結合した教育改革が進められており、それ自体が教育基本法の理念に反する疑いがありますが、東京都では同様のことが行われています。それどころか、東京都が国のレベルの改革を先取りする形で、先端を走っている状況なのです。
 新国家主義的側面についていえば、東京都の公立学校では、日の丸・君が代の強制が極端な段階に達しています。それがとりわけ激しくなったのは、2003年10月23日に東京都教育委員会による実施指針が通達されてからです。その実施指針に中で都教委は、卒業式、入学式などでの国旗の掲揚と国歌の斉唱について、「教職員は国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」ことのほか、国旗と都旗は舞台正面壇上に掲揚すること、国歌斉唱はピアノ伴奏などで行うこと(もちろんジャズ調やラップ調にアレンジしたら不適格とみなされます)、教職員の服装は厳粛で清新な雰囲気の式典にふさわしいものとすること、などときわめて詳細に指示しています。なかでも重要なのは、この実施指針にそって実行するように、あらかじめ職務命令が各教員に出され、それに従わなければ処分すると言われていることです。
 この通達について、問題はとりあえず三つあると考えられます。一つは、日の丸掲揚、君が代斉唱に関して教職員の服装まで含めた詳細なマニュアルが示されて、それをあらかじめ一人ひとりの教職員に職務命令という形で強制している点。
 第二に、そのとおりにしなければ職務命令違反で処分することがあらかじめ通告されていた、すなわち一種の脅迫がある点。
 第三に、本当に実施指針どおりに実行されているかどうかを監視するために、教育委員会が各学校に職員を派遣して調査をさせる。そしてその報告をさせ、その結果に基づいて実際に処分を行ったという点。
 この結果、2004年5月までに約250人の教職員が処分されています。あらかじめ処分されることがわかっていたにもかかわらず、不起立、つまり国歌斉唱のときに立たない選択をして処分された人々が約250人にのぼりました。この人たちは今、「日の丸・君が代不当処分撤回を求める被処分者の会」、あるいは「同不当解雇撤回を求める被解雇者の会」などをつくって、都の人事委員会に提訴したり、そもそもこのような通達に従う義務がないことを法的に確認するための予防訴訟といわれる裁判を起こしたりしています。
 その後、さらに問題点が加わりました。このとき処分された教職員のもとに、服務事故再発防止研修を受けよという発令通知書が6月末に発せられたのです。つまり、処分されたということを「服務事故」とみなして、それが再発することを防ぐための研修が被処分者に義務付けられたのです。都教育委員会の服務事故再発防止研修実施要綱によると、研修成果を確認するために被処分者には、自ら行った「非行」に関する報告書を作成させることになっていて、要するに君が代斉唱のときに不起立をするのは「非行」だと自ら認めるまで反省を命じたのです。これは思想転向の強要にも等しく東京都の学校教育は、収容所を持つ全体主義国家の様相を呈しはじめた感があります。
posted by PPFV at 22:55| Comment(2) | TrackBack(3) | 不定期日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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