ーーー貧しい人々は平和を求め、宮廷の連中は戦争を欲するーーー
(アンナ・ポリトコフスカヤ 2004.09.13)
<記事について> アンナ・ポリトコフスカヤについての説明はほとんど必要
ないほどだが、一応。モスクワの小新聞社ノーヴァヤ・ガゼータ紙の記者とし
て、幾度となく戦禍のチェチェンを取材している。最近は北オセチアの学校人
質事件の取材の途上で何者かに毒物を飲まされたことで、日本でも一度に有名
になった。訳書に「チェチェン やめられない戦争」(NHK出版)がある。
彼女の証言を引用してチェチェン問題を語ることはやさしい。私たちが知り
たいと思うことを、彼女はいつも届けようとするからだ。けれども、正直それ
を読むのは辛いことがある。書かれているチェチェンの苛酷な状況の前に、私
達には何一つできないような気分になるからだ。
けれど、これから記事を読む私か、あなたが、いつかチェチェンの平和のた
めの国際監視団の一員になり、チェチェンを短期間訪れることがあってもいい
かもしれない。この日本での生活の先に、そんな熱意を埋め込み、その視点か
ら、いま起こっていることを注視してみてはどうだろう。そういうふうに読む
のは、すこし邪道かもしれないが、この記事で、ポリトコフスカヤはチェチェ
ン戦争の現実的な幕引きの仕方を考察している。(大富亮)続きを読む