12月18日(日) - 午後 03:05 〜 午後 04:42 - 総合テレビ
ハイビジョン特集「なぜアメリカは戦うのか」
2004年 アメリカ シャーロット・ストリート・フィルムズ制作
日曜の午後、ぼんやりテレビをながめていたのだが、久々に出色のドキュメンタリーだった。
普段漫然と構えていては何も伝えてくれない(知ることができない)この国のマスメディアの現状を思えば、イラクの惨状を多少なりとも正確に捉え、軍産複合体の問題点に深く切れ込んだところは大いに評価できる内容だった。
NHKもすごいじゃないか・・・・と思っていたがエンディングのテロップを見ると「2004年 アメリカ シャーロット・ストリート・フィルムズ制作」とある。
・・・いやいや、こういう優れた海外のドキュメンタリーを取り上げたNHKの慧眼を評価すべきだろうし、小泉首相のとる立場に躊躇なく異を唱える姿勢は本来公共放送のとるべきまっとうな態度であると思う。ただひとつ残念なのはこういった態度がNHKにおいては決して主流ではないと思われる点である。
NHKにはこのような公共放送としての本来の役割を大いに果たしてほしい。
今回の放送は以前ハイビジョンで放送された番組の再放送のようである。地上波での再放送を切に希望する。必見&必録画である。
NHKハイビジョン特集「なぜアメリカは戦うのか」
http://www.nhk.or.jp/omoban/k/0904_9.htmlBS世界のドキュメンタリー
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「なぜアメリカは戦うのか」 2回シリーズ
BS1・後10・10〜11・00、後11・10〜深夜0・00
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2001年9月11日の同時多発テロは、アメリカの軍産複合体にとって新たな戦争の時代への幕開けとなったのではないか。番組は、ニューヨーク在住のベトナム帰還兵が、2003年のイラク戦争で爆撃に使用する爆弾に、同時多発テロで失った息子の名を書き記すよう電子メールで米軍兵士に呼びかけたという体験談を縦軸に、アイゼンハワー大統領の家族の証言や連邦議会の国防族議員の活動などをちりばめて、第2次世界大戦で誕生し冷戦で巨大化した軍産複合体がいまもアメリカの政治・経済に大きな影響力を持つ背景と現状を探る。
(前編) 巨大化する軍産複合体 後10・10〜11・00
ベトナム帰還兵ウィルトン・セクターは、同時多発テロの日の朝、仕事に向かう途中、息子の勤務先の世界貿易センタービルから煙が上がっているのを目撃した。やがて息子の死が知らされる。1960年退任を前にアイゼンハワー大統領はテレビ演説を行い、「この国には制御が困難な軍産複合体が生まれつつある」と警告した。しかし、この警告にもかかわらず兵器産業は今もアメリカ各地に巨大な工場を持ち地元選出議員にも強い影響力を持つ。カメラは国防予算を審議する連邦議会で露骨な利益誘導の演説を行う議員たちを映し出し、政治と軍産複合体の癒着の問題を提起していく。
(後編) 超大国への警告 後11・10〜深夜0・00
同時多発テロで息子を失ったベトナム帰還兵のセクターは、自分の呼びかけに応じた米軍兵士の手で息子の名が記された爆弾がバグダットに投下されたことを知り最初は満足したが、イラクに大量破壊兵器がなかったとブッシュ大統領が認めたことで、次第に自分が欺かれたと感じるようになったという。
冷戦後アメリカが行った数々の戦争は、アメリカの国益を誘導する一握りのエリートたちによって進められ、イラク戦争も、ブッシュ政権に強い影響力を持つ保守系シンクタンクが提唱した中東の安定化だと、開戦の直前までペンタゴンに勤務していた元将校が証言。
[原題] Why We Fight
[制作] アメリカ/2005年
※2005年サンダンス映画祭グランプリ (ドキュメンタリー部門)