http://www.amakiblog.com/archives/2008/06/20/#000947
天木氏の主張にはまあ共感できるところも多いのだが、この「ついでに共産党批判」するのはもういい加減やめてもらえまいか。「3の倍数でアホになる」ならぬ「共産党の話になるとアホになる」とでも言いたくなる氏の主張にはうんざりする。こう杜撰な批判をされては他の話も眉に唾して聞かざるを得ない。
共産党の独自路線も相変わらずだ。自民党は、次期総選挙前に選挙法を変えて供託金没収のハードルを低くすることを決めた。
候補者を絞らざるを得なかった共産党に対するシグナルである。もし共産党がそのえさに食いついて全選挙区への候補者擁立を復活するような事になれば、自民党は大喜びだ。
供託金没収のハードルを下げたのは自民党である。「候補者を絞らざるを得なかった共産党に対するシグナルである。」とは産経新聞の見立てhttp://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080619/stt0806190046000-n1.htmらしいが、現時点では共産党はその態度さえ明らかにはしていないし、その候補者擁立断念に関しては民主党支持者は大歓迎だろうが、それ以外では賛否両論がある。私自身、資金難なれば候補者擁立断念もやむなしとは思うが、でなければ候補者擁立は歓迎すべきことと思うし、「自民」「民主」の茶番に付き合う気などさらさらないのである。私たち選挙民にとって選択肢が「ない」ことこそ悲劇である。
そもそも供託金制度については「泡沫候補乱立の抑制」をその主目的とされ、ちなみに衆議院小選挙区においては有効得票総数の10分の1が供託金没収点とされる。選挙民の10人に1人が支持した候補者でさえ「泡沫」と呼び敷居を高くしてしまう現制度は大いに問題あると思うが、氏はそのようなことは問題にしない。早い話、選挙結果に何らかの影響を与えてしまう候補者が「泡沫」であるはずがないのだ。
そのような問題点はすっ飛ばして、「共産党」とは直接関係のない「自民党の思惑」をネタに、さらには「そのエサに飛びつくことになれば自民党も大喜び」とあくまで仮定の話を前提に批判しているに過ぎず、まして民主主義の根幹に関わる問題という認識もない。
既存政党は、政権交代のまえに、すでに空中分解しているのだ。
そしてこう結論付けるが、やはり「まず政権交代ありき」の態度が垣間見える。しかしながら「空中分解」ならぬ「空中溶解」しているのは、氏が政権交代を期待しているであろう「民主党」が最も重症であるし、もう少し正確に言えば民主党は「溶解」するまでもなく自民党と同じ「液体」。ちょっと違うように見えるのはリベラルだとかいう「インク」がほんのちょっと垂らされているからに過ぎない。放っておけば混ざりあうし「絵の具の筆洗」よろしくどんなえげつない色になるかは到底保証できない。
そのような政権交代では失うものこそ大きく得るものなど何もない。
そんな民主党の欺瞞性について的確に指摘されているエントリーがある。
欺瞞が自民党を助ける。(花・髪切と思考の浮游空間2008/6/16)
http://blog.goo.ne.jp/longicorn/e/ee5828cb59de612c0ec37cc7af87bea3
列記すると、以下の法案を与党とともに成立させた事実。
・宇宙基本法
・国家公務員制度改革基本法
・改定少年法
さらに、新憲法制定議員同盟では民主党議員が憲法審査会の活動開始を求める始末。その憲法審査会に関連して民主党・西岡武夫参院議運委員長が規程づくりで奔走しているのは周知の事実ではないか。
また問責決議を扱う参院本会議がはじまった11日その日、派兵恒久法の勉強会を自民、公明、国民新の議員らと、民主党議員が同席し開いている。
これが民主党のいう「対決」の実際だろう。
まさにその通りで重要な指摘である。にも関わらず「政権交代至上論」を表明してしまった左派ブロガーなどの多くは根本的問題のはずであるそのことさえ指摘できない。指摘するヒマもないほど「水の話」で忙しいのか、空中分解ならぬ空中溶解しているのは多くの左派ブロガーも同様である。そこに民主党の存在意義があったと言うべきか、「失うものが大きい」と思うことのひとつはまさにそのことである。