2008年06月10日

「26歳で派遣?人生終わってるな」そんな言葉を投げつけられた自分を想像してみる

秋葉原無差別殺傷事件である。まことに衝撃的であるし被害者あるいはその遺族の心情思えば胸を締め付けられる思いである。ご冥福を心よりお祈りする。
事件以降、数々の報道に触れ何かと考えさせられるところも多かった。いかなる理由があれ容疑者の取った行為は許されないことであるし、容疑者への数え切れないほどの非難はもっともなことである。
「被害者になってみなければその気持ちはわからない」と人は言う。それはその通りだ。しかしその心情を多少なりとも推察することに多くの努力は必要としない。あるいは無意識にさえそう感じる事は可能だ。容疑者への怒りはその表れであろう。一方、加害者の心情を推察することはまことに難しい。ましてや理解する事などさらに困難であろうし、ほとんどの場合そうした努力がされることもない。「容疑者はキレやすかった」「家庭内暴力もあったようである」と聞けば「ああやっぱりねぇ」で終わりである。
しかしながらこうした悲惨な事件を2度と起こさないために重要な事は後者なのであるし、ひとつの問題として「労働問題」が大きく横たわっていることは否定できない。

加藤容疑者 派遣の工場で勤務 トラック、7日夕に予約(東京新聞2008/6/9)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008060902000063.html

 加藤智大容疑者の派遣元の人材派遣会社「日研総業」によると、加藤容疑者は昨年十一月十一日、東京都新宿区にある採用専用事務所で面接を受けた。求人広告を見て応募してきたといい、志望理由として「以前にも自動車の組立工場で働いていたから」と話した。

 派遣先の関東自動車工業の工場の仕事は自動車部品の加工組み立てと検査。勤務形態は午前六時半から午後三時までの昼間帯と、午後四時から翌日午前零時四十分までの二交代制で、土、日曜日は休日。月給は基本給が二十万円強で、残業代が加算される。


「日研総業」でいくつか記事を拾ってみた。

ユニオン結成、本で紹介 シリーズ「労働破壊」(朝日新聞2007/9/17)
http://book.asahi.com/news/TKY200709170081.html

「26歳で派遣? 人生終わってるな」。2人の男性がユニオンを結成したきっかけは、正社員が投げかけた一言だった。


「26歳で派遣? 人生終わってるな」そんな言葉を投げつけられた自分を想像してみる。ぞっとする。記事中の人物はそれを「ユニオン結成」へのバイタリティへと変えたのだね、ラッキーにも。

主張/増大する請負・派遣/放置できない「悲惨な職場」(しんぶん赤旗2005/5/16)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-05-16/02_03_0.html

過酷労働 動けず休んだ青年の寮に「てめえ」と…/現代「たこ部屋」物語(しんぶん赤旗2005/5/1)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-05-01/01_02_0.html

「派遣法は改正を」国会内シンポで訴え(JANJAN2007/10/6)
http://www.news.janjan.jp/government/0710/0710053506/1.php

細切れ雇用は「つねに失業」のようなもの 仲間とともに生きる道を切り開く(JANJAN2008/2/26)
http://www.news.janjan.jp/living/0802/0802250469/1.php
posted by PPFV at 20:21| パリ | Comment(3) | TrackBack(1) | 不定期日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 今晩は。伊東です。
 今、私もこの秋葉原事件に関して記事を作っている所で…完成次第、お知らせに参ります。
 この事件に関して、またも加害者本人だけでなくその周辺に対しても「重圧」をかける姿に正直げんなり来ています。
 確かにやった事は許せる事ではないけども、だからと言ってなにをやってもいいんじゃないんだよって思うのですが。

 ましてや考えなければならない背景もあるというのに、その部分は意図して遠ざける一部のマスコミ媒介には怒りさえ覚えざるを得ませんね。何かの不満をたまたま見つけた“材料”で発火させて、不満を解消する。

 不条理を解決させる方法はそうじゃねぇだろ!
 って大声で叫びたい今日この頃です。
Posted by 伊東勉 at 2008年06月12日 19:07
伊東さん、コメントありがとうございます。
エントリー期待しております。
この事件をきっかけに派遣労働者への関心も高まりつつあったようでそれは歓迎すべきことだったのですが、それをはるかに上回るマスゴミのはしゃぎようには、おっしゃるようにげんなりです。
が、「ロスジェネ」に見られるような新しい共闘の輪が広がりつつあることには大いに期待しています。右翼左翼などの垣根を超えた共闘ですね。味方のふりしたやつは要注意(笑)。むしろ「右翼」との共闘がカギですね。
Posted by PPFV at 2008年06月13日 00:34
43歳にして特定派遣労働者である私としても、そういう観点からこの事件は注目に値するものと思います。
無論、犯人の行為は断じて許されるべきものではありませんが、その原因あるいは発端となった社会背景を無視し、単に犯人の性格がそうさせたのだとして片付けてしまっていては、この種の犯罪の防止・撲滅または減少は実現しないでしょう。
桝添がようやく日雇い派遣原則禁止を次の国会で実現しようと言っていますが、遅きに失した感はあるものの、確実に実施してもらいたいものです。
Posted by もーちゃん at 2008年06月14日 16:54
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

関東自動車工業
Excerpt: 秋葉原の事件 の方々の一刻も早い回復を祈ります。これは天漢日乗様のところで見つけ...
Weblog: はるなの日記
Tracked: 2008-06-11 16:41
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。