2008年06月23日

民主党とともに空中溶解する左派ブロガー

政権交代の前に政党が空中分解しているのではないか(天木直人のブログ2008/6/20)
http://www.amakiblog.com/archives/2008/06/20/#000947

天木氏の主張にはまあ共感できるところも多いのだが、この「ついでに共産党批判」するのはもういい加減やめてもらえまいか。「3の倍数でアホになる」ならぬ「共産党の話になるとアホになる」とでも言いたくなる氏の主張にはうんざりする。こう杜撰な批判をされては他の話も眉に唾して聞かざるを得ない。

共産党の独自路線も相変わらずだ。自民党は、次期総選挙前に選挙法を変えて供託金没収のハードルを低くすることを決めた。
 候補者を絞らざるを得なかった共産党に対するシグナルである。もし共産党がそのえさに食いついて全選挙区への候補者擁立を復活するような事になれば、自民党は大喜びだ。


供託金没収のハードルを下げたのは自民党である。「候補者を絞らざるを得なかった共産党に対するシグナルである。」とは産経新聞の見立てhttp://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080619/stt0806190046000-n1.htmらしいが、現時点では共産党はその態度さえ明らかにはしていないし、その候補者擁立断念に関しては民主党支持者は大歓迎だろうが、それ以外では賛否両論がある。私自身、資金難なれば候補者擁立断念もやむなしとは思うが、でなければ候補者擁立は歓迎すべきことと思うし、「自民」「民主」の茶番に付き合う気などさらさらないのである。私たち選挙民にとって選択肢が「ない」ことこそ悲劇である。
そもそも供託金制度については「泡沫候補乱立の抑制」をその主目的とされ、ちなみに衆議院小選挙区においては有効得票総数の10分の1が供託金没収点とされる。選挙民の10人に1人が支持した候補者でさえ「泡沫」と呼び敷居を高くしてしまう現制度は大いに問題あると思うが、氏はそのようなことは問題にしない。早い話、選挙結果に何らかの影響を与えてしまう候補者が「泡沫」であるはずがないのだ。
そのような問題点はすっ飛ばして、「共産党」とは直接関係のない「自民党の思惑」をネタに、さらには「そのエサに飛びつくことになれば自民党も大喜び」とあくまで仮定の話を前提に批判しているに過ぎず、まして民主主義の根幹に関わる問題という認識もない。

既存政党は、政権交代のまえに、すでに空中分解しているのだ。


そしてこう結論付けるが、やはり「まず政権交代ありき」の態度が垣間見える。しかしながら「空中分解」ならぬ「空中溶解」しているのは、氏が政権交代を期待しているであろう「民主党」が最も重症であるし、もう少し正確に言えば民主党は「溶解」するまでもなく自民党と同じ「液体」。ちょっと違うように見えるのはリベラルだとかいう「インク」がほんのちょっと垂らされているからに過ぎない。放っておけば混ざりあうし「絵の具の筆洗」よろしくどんなえげつない色になるかは到底保証できない。
そのような政権交代では失うものこそ大きく得るものなど何もない。

そんな民主党の欺瞞性について的確に指摘されているエントリーがある。

欺瞞が自民党を助ける。(花・髪切と思考の浮游空間2008/6/16)
http://blog.goo.ne.jp/longicorn/e/ee5828cb59de612c0ec37cc7af87bea3

列記すると、以下の法案を与党とともに成立させた事実。

 ・宇宙基本法
 ・国家公務員制度改革基本法
 ・改定少年法

さらに、新憲法制定議員同盟では民主党議員が憲法審査会の活動開始を求める始末。その憲法審査会に関連して民主党・西岡武夫参院議運委員長が規程づくりで奔走しているのは周知の事実ではないか。
また問責決議を扱う参院本会議がはじまった11日その日、派兵恒久法の勉強会を自民、公明、国民新の議員らと、民主党議員が同席し開いている。
これが民主党のいう「対決」の実際だろう。


まさにその通りで重要な指摘である。にも関わらず「政権交代至上論」を表明してしまった左派ブロガーなどの多くは根本的問題のはずであるそのことさえ指摘できない。指摘するヒマもないほど「水の話」で忙しいのか、空中分解ならぬ空中溶解しているのは多くの左派ブロガーも同様である。そこに民主党の存在意義があったと言うべきか、「失うものが大きい」と思うことのひとつはまさにそのことである。
posted by PPFV at 20:48| パリ ☀| Comment(12) | TrackBack(8) | 政権交代真理教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご紹介いただき、深謝いたします。
民主党の態度は今さながら、うんざりしますが、同党を支持している少なくないブロガーが沈黙している不思議、それを私は深刻に思います。
彼らをはたしてリベラル・平和などと位置づけられるかどうかさえ、疑問に思います。ましてや左派ブロガーなどとよぶのは歯が浮くような思いですね、私は。彼らの主観がどうであれ。
しばし静観すべし。そうすれば、そのうち正体が明らかになるのではと思っています。
Posted by これお・ぷてら at 2008年06月23日 21:55
これお・ぷてらさん、コメントありがとうございます。
確かに左派ブロガーという言い回しにはいささか抵抗ありましたが、いちいち注釈つけるのもいかにも締りがないので、便宜上ざっくり左派ブロガーとさせていただきました。
民主党の化けの皮が次々と剥がれ、それ自体は驚きもしませんが、まるで金縛りにでもあったようにそのことを指摘さえできない(はっきりと共産党支持を表明している人以外で指摘しているのは、ほんと数えるほどですね)いわゆる左派ブロガー。心配していたこととはいえまことに暗然たる思いです。
Posted by PPFV at 2008年06月24日 00:59
 こんにちは。伊東です。
 ブログ活動休止ですか…わずか2年ぐらいの付き合いだったのですが、PPFVさんの活動・記事制作にはだいぶ助けられました。

 まだ共産党に対しての「3になればバカになるが如くの批判」はありますが、その一方で自分達が「反自公は民主に力集めるだけで成す事できるのか!」と言い続けてきた事はムダにはならず、あからさまな共産党外しは少なくなってきました。まだまだ「真の反自公勢力の結成」には課題は多いのですが。

 そういう意味でも、PPFVさんには記事もっと書いていただきたかったところですが…残念です。
 それでも、日々の社会では生き続けるわけですから、あ、そういや伊東なんてのがいたな、と思い出したら、ぜひブログに遊びに来てください。
(できる事なら…私が関わった記事をプリントアウトしておきたいので、ブログの消去がいつになるか提示していただければ、と思います)
Posted by 伊東勉 at 2008年06月25日 16:52
唐突な閉鎖、残念です。
私も以前、自分の無力さに絶望して休止をしたことがありました。伊東さんとPPFVさんがお悔やみのコメントを下さったのを嬉しく思っています。
その後開き直って、誰も見ないのならそれでもいいと独り言のつもりで細々と書いています。
たとえ3年間更新しなくても3年後に何事もなかったように更新するようなことは不可能でしょうか。
「……ということで」
の前にはどのような事情があるのか、他人である私には思いもよらないのですが。
ともかく、短い間でしたが、ありがとうございました。
いつか再開・再会の日を願って。
Posted by 資本主義から民主主義へ! at 2008年06月25日 23:05
こんにちは。閉鎖との事で寂しい限りです。
初めて私のブログにコメントをいただいてからちょうど四年がたっていました。
その間、勉強になる記事をたくさん読ませていただきました。また、何度も励ましていただき、有り難うございました。
いつか再開される事を楽しみにしております。
Posted by OONO at 2008年06月28日 12:35
 ブログを閉鎖するのではなく、長期休止には出来ませんか?

〜たしかな野党 支え続けて 上げ潮めざす!〜
Posted by 嶋ともうみ at 2008年06月30日 00:28
波長キャッチ! 波長キャッチ!
こちら宇宙、感度視界ともに良好です。

このコメント、そして先ほどのトラバは、「ということでさようなら。」に突入したつもりだが、なぜか一個、的が外れた模様。爆!

いつも痛快で、鋭く、広範に渡って、何事においても、的を射ているこの御仁、いったい何者なのでしょうか。(^^ゞ

このブログに御呪いをかけて、いつかまた、気分新たに、そして気楽によみがえる日を心待ちにしています。
Posted by No Name Sohr at 2008年07月02日 15:45
伊東さん、コメントまことにありがとうございます。

色々無い頭で考えましたが(笑)、ひとまず性急にブログ削除することはいたしません。
もうしばらくは暇を見ながらつまらぬこと書き連ねようと思いますので今後ともよろしくお願いします。
お騒がせして申し訳ありません。
Posted by PPFV at 2008年07月03日 23:57
資本主義から民主主義へ!さん、コメントまことにありがとうございます。

その節はお世話になりました。コメントいただきこちらこそ大変ありがたく思っております。
「・・・ということで」はその前のエントリーを受けてのことで、正直うんざりしていたところですが、ちょっと思い直しました。まあ仕事や家庭のことなどなど色々ディレンマもありますが、おっしゃるように開き直って気楽にやろうと思いなおしました。相変わらずたいした事は書けませんが、今後ともよろしくお願いします。
Posted by PPFV at 2008年07月03日 23:59
OONOさん、コメントまことにありがとうございます。

当ブログ始めてから4年余りになります。この間尊敬すべき多くのブロガーの方が去っていかれました。こちらから離れてしまったブロガーの方も少なくありません。そんな中で当初よりリンクさせていただいているのは唯一OONOさんだけなんですね。その冷静かつ一貫した姿勢には敬服します。こちらから励ますことなどできたかどうかは甚だ心もとないのですが、ひとまずはやめることはいたしません。今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by PPFV at 2008年07月04日 00:03
嶋ともうみさん、コメントまことにありがとうございます。

ということで、ひとまずやめることはやめにしました。実質長期休止ということもあるかもしれませんが、懲りずに今後ともよろしくお願いします。
Posted by PPFV at 2008年07月04日 00:05
No Name Sohrさん、コメントまことにありがとうございます。

過分の励ましのお言葉、穴があったら入りたいとはこの事です。あんまり真剣に考えてもたいした話出てくるわけじゃなし、真剣に考えても仕事への集中力を欠くだけでロクなことありゃしません(笑)。ということでチャランポランに怠惰にしかたなく続けますので(爆)今後ともどうぞよろしくたのみます。
Posted by PPFV at 2008年07月04日 00:08
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