2004年09月01日

少年法令改正・厳罰化で犯罪が減るか

琉球新報社説(2004年8月26日)
少年法令改正・厳罰化で犯罪が減るか
http://www.ryukyushimpo.co.jp/shasetu/sha28/s040826.html#shasetu_2

少年法令改正・厳罰化の本当の狙いは何なんだ?

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posted by PPFV at 01:02| Comment(7) | TrackBack(3) | 不定期日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
罪に対して厳罰化を求めるというのは、犯罪の抑止を目的とするというよりも、犯罪によって傷つけられた感情の復讐を求めるためというふうに僕には見えます。復讐感情というのは、理屈ではどうにも出来ないものなので、いつまでもこの問題は厳罰化というものにはついて回るのではないかと思います。

社会の総意というものが、復讐感情の満足よりも、もっと建設的な面に向かうのなら、厳罰化という方向へは行かないのではないかと思います。厳罰化が犯罪の抑止に役立たないと言うのは、統計上の真理としてはもはや常識とすら言われています。

これは、心理学的に考えてもそうではないかなと僕は思います。犯罪を犯す人間は、その瞬間には犯罪後の罰のことを考えながら犯しているようには見えないからです。むしろ、犯罪に対しては罰があるということだけで、その罰を逃れるためにさらに重大な犯罪を犯す場合さえあるのです。

重罰を逃れるためではなく、犯罪の発覚そのものを恐れるために罪を重ねるというのは、映画でもよく描かれますし、事実としてもそうではないかと思います。単純なこそ泥を見つかったために、目撃者を殺してしまうというような不幸さえ起こるのではないかと思います。

こそ泥程度の罪による罰と、殺人という重罪における罰を比較してそこで自分を押さえられる犯罪者はきわめて少ないように思います。だからこそ重罰化は犯罪抑止力がないのではないかと思います。(もっとも軽犯罪に対しては重罰化は効果があるそうなので、大したことのない犯罪に対しては、とてもそれに見合わない重罰を科しておくといいかもしれません。たばこのポイ捨てなどは、罰金として10万円も徴収しておけば、ほとんどなくなるのではないかとも思えます。重罰化が効果がないというのは、あくまでも重大で凶悪な犯罪の抑止には効果がないということだと言われています。)

犯罪抑止のためには、重罰化ではない、社会環境の整備などの方が有効だと思います。重罰化は、復讐感情のために行われるものだと思いますから、問題は、この復讐感情を、いかに建設的な方向へと昇華していくかということではないかと思います。難しいことだとは思いますが、重罰化は、その難しさを放棄することになるので、決して本質的な解決にはならないと思います。

僕にも、どうしたらいいかという決定的な考え方はありませんが、この難しい問題は、ずっと考え続けていくべき問題だろうと思います。重罰化をすることで忘れ去っていい問題だとは思えません。
Posted by at 2004年09月02日 10:31
秀さん、コメントありがとうございます。

>罪に対して厳罰化を求めるというのは、犯罪の抑止を目的とするというよりも、犯罪によって傷つけられた感情の復讐を求めるためというふうに僕には見えます。

一般に世論の動向という観点からはそう言えると思います。しかしそれで犯罪被害者(または遺族)の感情を癒すのに最善の方法かというと、どうもそうではないように思うのです。

>厳罰化が犯罪の抑止に役立たないと言うのは、統計上の真理としてはもはや常識とすら言われています。

そうですね。それに少年犯罪について言えば、多くの場合その『罰』についての知識や意識に乏しく『厳罰化』したところで、それ自体何の意味も持ちません。

少年犯罪の凶悪化が叫ばれている昨今ですが、実際はどうかというと、確かに質的な変化はあるかもしれませんが、量的には決して増加しているわけではありません。
少年法改正・厳罰化の目的に懐疑的になる所以です。

>犯罪抑止のためには、重罰化ではない、社会環境の整備などの方が有効だと思います。重罰化は、復讐感情のために行われるものだと思いますから、問題は、この復讐感情を、いかに建設的な方向へと昇華していくかということではないかと思います。

佐賀バスジャック事件の被害者の方の取組みは、そんな具体例の一つかもしれません。(犯罪にかりたてたであろう)子どもを取巻く環境、問題に向き合う取組みをされています。具体的にはまた記事にでもできればと思っていますが。
Posted by PPFV at 2004年09月03日 01:45
PPFVさん こんにちは。 私は、年少者の犯罪の厳罰化は、最近の強権支配の一連の動きに連なるもので、年少者に対する抑圧の強化だと思います。年少者の犯罪を減少させるには、強権支配の構造を無くして、社会の閉塞感を取り除くことが一番だと思います。そのための第一歩は、とりあえず小泉首相を退陣させることでしょうか。(トラックバックさせていただきましたが、最近うまく連携されなくなってしまったようです)。
Posted by SIERRA at 2004年09月03日 16:53
こういうページがありました。
ご参考まで。

http://kodansha.cplaza.ne.jp/broadcast/special/2000_03_22_2/
Posted by U2QMS at 2004年09月04日 06:40
SIERRAさん、コメントおよびTBありがとうございました。
こちらからもTBさせていただきました。

>私は、年少者の犯罪の厳罰化は、最近の強権支配の一連の動きに連なるもので、年少者に対する抑圧の強化だと思います。

とのご意見には賛成です。

本来、少年法改正の問題は、少年犯罪に限らず・・・
・犯罪防止の観点
・再犯防止(社会更正のしくみ)の観点
・被害者救済の観点
すべてが混乱して議論されるところに問題(あるいは恣意的な意図)があるように思います。
Posted by PPFV at 2004年09月04日 14:33
U2QMSさん、記事のご紹介ありがとうございます。

ざっと読んで見ましたが、またじっくり見てみたいと思います。

ひとつ気になったところ・・・

「裁判所、被害者の家庭、学識経験者、弁護士など現場の方々の話を聞くと、犯罪を犯す少年たちは今の少年法によって自分たちは罰せられないことを十分知っているというんです。そもそも現行の少年法は、GHQの占領下にあった昭和25年、アメリカ本国のテストケースとして施行されたものなんですよ。アメリカでは今のような日本の少年法にすると、凶悪犯罪が増えてしまうという懸念があった。しかし、子供の人権は守らなければならない。そこで、言葉は悪いが実験として日本に押しつけてみたんです」

何かの話と似てますね(^^;;
詳しく見ていないので何とも言えませんが、
「実験的に押し付けた」とすればそれは「かなり先進的な法律」であることかもしれませんね。
Posted by PPFV at 2004年09月04日 14:42
うめチキです。

厳罰化云々は別として、警察の調査権が明記される点は重要だと思います。
Posted by うめチキ at 2004年09月09日 10:42
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