米英に同調しいち早くイラク攻撃に賛同した日本政府も、先の戦争責任さえ未だ収拾できないまま、いわば新たな戦争責任を抱え込んだとも言えそうです。結果的にそれを許した我々にもその責任の一端はあるでしょう。
天木直人10月11日 メディア裏読み
はじめから大義は要らなかった!?
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米調査団が「大量破壊兵器はなかった」との最終報告書を発表して以来、世
界で様々な発言が飛び出している。これからもどんどんと新たな事実や証言が
飛び出してくるであろう。これは好ましい事だ。そうすることによって初めて
我々はあの戦争は何であったかの全貌に少しでも近づけるからである。 もううんざりだと思っている人がいるかもしれない。イラク戦争を支持した
人や、そもそも最初から関心のない人にとってはそうだろう。しかし彼らは間
違っている。米国のイラク攻撃がいまでも続いているのである。「テロとの戦い」
はますます広がっていくのである。そうである以上、その出発点であった米国
のイラク攻撃が正しかったかどうかを明確にさせなければならない。もう一つ
忘れてならない事は、米のイラク攻撃で一万数千人のイラク人が犠牲になった
ということである。米国は世界に対し、このような人命の犠牲を招いてまでも
イラク攻撃を起こさなければならなかった説得ある理由を示さなければならな
い。ブッシュ大統領が再選されたならばこの事が一層求められることになろう
(選挙に敗れたら、ブッシュ政権の中枢はすべて戦争犯罪人として裁かれなけ
ればならない)。
10月11日の朝日新聞によれば、ライス米大統領補佐官が10日フォックステ
レビのインタビューで、「イラクが大量破壊兵器を保有していない事がわかって
いても米国はフセイン政権打倒の戦争に踏み切っただろう」との認識を示した
という。語るに落ちるとはこのことだろう。それならば最初からそういって戦
争を始めればよかったのだ。国連査察など最初から不要であったのだ。
AFP時事通信によれば、元国連査察官のスコット・リッター氏は10日付の
英紙インデペンデントに寄稿し、米英が国際法の精神と規定から外れてイラク
を攻撃したことにより世界情勢を悪化させたと歴史が証明するだろうと主張し
ているという。一方ブリッグス前国連監視検証査察委員長も同紙に寄稿して、
ブッシュ大統領、ブレア首相はイラク攻撃を正当化するために新たなワラにし
がみつき始めた、米調査団は報告書の中で「フセイン元大統領は国連の制裁が
解除されたら兵器開発再開を望んでいた」という言及があるが、これが彼らが
しがみつく新たなワラであると述べたという。
さて日本では国会で野党はどこまで小泉首相に迫る事ができるのか。11日付
の毎日新聞「発信箱」で与良正男記者が書いている。「小泉首相がムキになって
反論する光景が今から目に浮かぶようだ。『査察に協力しなかったイラクが悪
い』とか『間違った戦争だったからフセイン政権に戻せというのか』とか・・・こ
れじゃぁ何の進歩もない。・・・外務省はフランスも最後は決議に乗ると踏んでい
て、米英と決裂した際には小泉首相は見通しの甘さを強くなじったとも聞く。
首相も「戦争の大義」にこだわり、悩んでいたはずだ。それでも開戦を支持す
る以外にないと判断したのは何故か。それをあらためて聞いてみたい。マスコ
ミが検証すると『ウソを書く』と首相は言う。ならば政府の責任で経過を詳細
にまとめ公表したらどうか。・・・米調査団並みに1000ページに及んでも熱心に
読む人は多いと思う」。
その通りである。米国も英国も委員会を作って検証しその結果を国民に明ら
かにしている。日本政府もそれをしなければ米のイラク攻撃を胸を張って支持
した小泉外交の説明責任を果たしたことには決してならない。野党はこの事を
国会で追及しなければならないのだ。
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