アジアの分断こそ米国の戦略だ
http://amaki.cocolog-nifty.com/amaki/2004/11/1117.html
11月17日の日経新聞に、日本として「東アジア共同体」構想にどう取り組むべきかという記事が載っていた。その見出しも「排他的色彩に批判の声」である。中国嫌いの古森義久という記者が書いた記事であるから、日本と中国が協力することに否定的な論調であることは当然としても、この期に及んでも米国がここまで「東アジア共同体」構想に反対しているのを見ると、米国は自分抜きでアジアが結束する事がよほど許せないと見える。
その記事によればこうである。米国民間のアジア研究機関「米国アジア太平洋評議会」が最近ワシントンで「米国とアジア太平洋―次期政権の課題」と題する討論会を開いた。その討論会で米国外交評議会のエドワード・リンカーン上級研究員が次のように発言したというのだ。
・・・東アジア共同体という構想が排他的方向に動くと、この地域の平和と安全に悪影響が出て、米国としても座視できない。
(この構想は)?「アジア通貨基金」が誕生しなかったように(筆者註:誕生しなかったのではない。宮沢蔵相の提案をカンカンになって米国が潰したのだ)、経済・金融圏としてのアジアには中央銀行的な機軸がない?アジアは人口、政治、文化などの面で非常に多様性が高く共通項が少ない?米国、オーストラリア、ニュージーランド、台湾を排除しており、経済共同体としてはゆがんでしまう?東アジア共同体構想に最も近い現存のアセアン+3(日・韓・中)についても米国が入らない限り中国のパワーに圧倒されてしまう。・・・。
1990年にマレーシアのマハティール首相が東アジア共同体構想をはじめて提唱した時、米国のベーカー国務長官(当時)は日本に猛烈な圧力をかけて反対しろと迫った。そのときマハティール首相は「米国は日本が中国と一緒になってアジアの発展に貢献することを恐れているのだ」と内輪の席で喝破していた。
全くその通りなのである。それから十数年たって中国の経済も発展し、日本と中国の経済関係も米国のそれを凌ぐようになった。経済関係の進展は防ぎようがないとしても、政治的に日本と中国が近づく事は米国にとっては悪夢なのだ。経済さえも米国は日本を出し抜こうとしている。そんな米国の戦略は見え見えなのに、知ってか知らずか日本の対米従属は進む一方である。日本はもっと戦略的に外交を進めなければならないというのに、外交不在はますます酷くなる。日本は米国に命じられることに自虐的快感を覚えていると思いたくもなる。ああ、気色悪い。