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サンデー毎日6月26日号に驚くべき記事が載っていた。「武富士事件」を追及したジャーナリストの山岡俊介損が警鐘を乱打している。
すなわち政府は会期を延長して今国会で多くの法案を通そうとしているが、その中に刑法改正案があるという。そしてその改正によって、「共謀罪」をつくろうとしているという。その実態がものすごい。
この刑法改正案は、4年以上の懲役・禁固刑を定めるすべての犯罪(約560もあるらしい)を対象とし、その犯罪を「団体」(二人以上)が「共謀」(つまり相談や合意も含む)した場合、最高5年の懲役に問われる可能性があるというのだ。
条文の説明をするよりも具体的な例を引用したほうがわかりやすい。「社長の譲歩が得られるまで徹夜してでも団交しよう」と合意すれば、組織的強要の共謀罪になりうる。酒場で酔った同僚が上司の話をして「今度ぶん殴ってやる」と言ったとする。それを受けて「そうだ!」と答えれば、それで十分に傷害の共謀罪が成立する。市民団体がイスラエル軍の爆撃で破壊されたパレスチナの病院の復興資金を集める活動をすれば、その背後にテロ組織が存在しているとみなされれば、テロ資金供与の共謀罪に問われる可能性もある。
山岡損はつぎのように述べている。
「何故私が共謀罪に反対するのかといえば、この法律が成立すれば、政治家や官僚など、時の権力者に都合の悪い記事を書こうとした場合、共謀罪を拡大解釈して、口封じの為にいとも簡単に摘発することが可能になるからだ」
共謀罪に詳しい弁護士も次のように述べているという。
「・・・やる気になれば誰でも、どんな些細なことでも、逮捕できる。適用できる法律も刑法に限らず、商法、消費税法、道路交通法など日常生活に直接関係あるものが多い。警察にとっては“打ち出の小槌”になるでしょう・・・」
小泉政権の下で、個人保護法、通信傍受法、有事関連法など、治安がらみの立法がすごい勢いで成立している。その中でもこの「共謀罪」はかつての「破壊活動防止法」を上回る悪法に属いない。
大手メディアは共謀罪の危険性について殆ど報じてこなかった。民主党など野党も「テロを支援しているのか」と言われるのを恐れてか、腰が引けている。その結果、共謀罪が成立する動きがあること、この「共謀罪」がいかに国民の生活を脅かすかについて、国民はほとんど知らないままである。そんな状況で刑法が改正されたらどうなるのか。
ジャーナリストの斉藤貴男損はこう述べている。
「“まさか、そんな悪法ができるわけがない”というのが、多くの国民の実感でしょう。しかし現実にテロ対策を口実に、拡大解釈できる法律が出ている。それだけ権力者に舐められているということです。少しでも多くの人に、今からでも反対の声をあげてほしい。共謀罪が成立すればかつてのソ連や北朝鮮のような密告社会、超監視社会に向かうことでしょう」
他人事ではない「共謀罪」である。
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《拙ブログ関連記事》
「共謀罪」って知ってました?(2004/8/24)
http://ppfvblog.seesaa.net/article/486537.html