2005年09月19日

[JCJフラッシュ]逃げ回って議席増の小泉流と、強い自民党がいてこそのマスメディア

JCJフラッシュ(2005/9/17号)
http://blog.mag2.com/m/log/0000102032/106428431?page=1#106428431

□■逃げ回って議席増の小泉流と、強い自民党がいてこそのマスメディア

 11日深夜の830号に書いたように、今回の総選挙は勝利者がわかりにくい。与
党は大事な課題についての論争を避け、郵政民営化に逃げた。だから与党は、選挙で
の勝利を手放しで喜ぶわけにもいかないだろうし、郵政民営化が国民の支持を得たと
決め付けることもできない。逃げ回って票を集め、議席を増大させた自民党を勝利者
と呼べるわけもない。

 民主党は大幅に議員数を減らしたものの、得票数では大敗北を喫したわけではない。
共産党も社民党も議席を増やし、得票数も増大している。その意味も含めて、今回の
勝利者は選挙民だったといいたいところだが、自民党に入れた人々は、早くも「後悔」
しはじめている。

◇◇自民圧勝は小選挙区制マジック

 選挙結果を振り返っておこう。
 当選議員の数で自民党は民主党を大きく上回ったが、同じ与党の公明党は公示前勢
力から3議席減った。得票数で見た場合、自民党は小選挙区で3252万票、比例区
で2589万票とり、公明党は小選挙区で98万票、比例区で899万票だ。

 自民党の小選挙区の票には公明党の票が乗っているし、公明党の比例区には自民党
の票が乗っている。両党とも実数、実勢を覆い隠すための「極めて優れた連携」だっ
たともいえるだろう。

 議席の面では、小選挙区比例代表並立制の特性によって、底上げのゲタをはいた自
民党は議席を大幅に増やした。議席を減らした公明党も、比例区での得票数を03年
衆院選より26万票、04年参院選より37万票増やしたかたちとなり、なんとか面
子を保った。与党連携による「粉飾」数値の効果だ。

 両党の与党パートナーとしての関係は、これを機会にさらに融合を進めるのか、そ
れとも徐々に離反が始まるのか、どちらにしても、変容を進める最大の要因は小泉マ
ジックではなく、小選挙区制マジックであろう。そこは両党とも、冷静に分析してい
るに違いない。そうでなければ、選挙結果を見てイカンザキ氏も、そうそう小泉首相
をあからさまに持ち上げる必要などない。

 それは野党との対比をみるとさらにはっきりする。民主党は小選挙区で2480万
票獲得している。比例区でも2104万票だ。得票数は03年の衆院選と比較して1
06万票減、04年の参院選と比較して100万票減らした。それでも2000万票
の大台をキープできる政党として推移している。

 得票率で自民党と比較すると、小選挙区では自民47・77%、民主36・44%、
比例区では自民38・17%、民主31・02%となっている。メディアは昔からの
癖で、議席の差を強調するのでわかりにくいのだが、民意は得票数や得票率からより
正確にみていく必要がある。

◇◇投票者増大分で、だれもが予想外の「ミラクル」

 「自民党は小選挙区の得票数は民主党の1・3倍だが、候補者1人を当選させる小
選挙区制で優勢に立ったことで大勝を呼び込んだ」(朝日新聞)わけだが、01年7
月の参院選での小泉ブームのときは、民主党の比例区獲得票数は1322万票、今回
は2104万票をキープしてるのだから、第2次小泉ブームと安易に呼べるかどうか。

 今回の自民党の大幅議席確保は、03年衆院選対比523万票の上積み分が大きく
影響しており、他党がへこんだわけではない。そこに小泉自民党独特の「動員策」「
新たな有権者掘り起こし策」が隠れているとの意味から、第2次小泉ブームも呼ぶの
は各紙の自由である。その点を指摘せずに、ブーム再来などのように煽るのは、誤解
を招きかねない。

 また、共産党は小選挙区494万票、比例区492万票を獲得して、比例区で04
年の参院選より56万票増やし、03年の衆院選より33万票増やしている。社民党
は小選挙区100万票、比例区372万票を獲得して、比例区で04年の参院選より
73万票増やし、03年の衆院選より70万票増やしている。

 国民新党は小選挙区43万票、比例区118万票を獲得、新党日本は小選挙区14
万票、比例区164万票を獲得している。大政党に有利に加速がつき、小政党には不
利に加速をつけるのがこの選挙制度の特徴なので、議席が少数で低迷しているように
みえても、実際はかなり国民の支持を受けていることを念頭におくべきであろう。

 「自民党圧勝」「勝ちすぎ」とおどろきをもって受け止められたが、小選挙区制マ
ジックを土台に、523万票の上積みをもって公示前勢力212から296へと小泉
マジック化したと解すべきであろう。獲得票数や得票率で見れば、獲得議席が多すぎ
るのであり、実態はそれほど大勝利といえるわけでもないのである。

◇◇郵政民営化 世論は拮抗

 その点、選挙後のメディアの「自民党圧勝」「大勝利」報道には、疑問が残る。い
かにメディアが「政権選択選挙」をあおる根拠はあったにせよ、開票後の獲得議席数
に目を奪われ、民主党「大敗北」と打ったのはいささか疑問がある。郵政民営化との
からみである。

 私は開票日の深夜の号で、与党は選挙のテクニックでは勝利したかもしれないが、
それはあくまで技術に留まるのであり、廃案となった郵政民営化法案の成立を国民が
望んだという証明にはならない、と指摘した。各党の獲得票数、得票率はそのことを
はっきりと裏づけている。

 小泉首相は、今回の総選挙で「郵政民営化」のみを打ち出し、その他の重要課題を
有権者の焦点から外す戦術をとったはずだった。だが、繰り返しになるが、自民、公
明の与党が衆院で3分の2以上の議席を得たといっても、それは選挙制度のなせる業
であり、得票率では法案賛成派の与党は得票率合算でも小選挙区で49・21%、比
例区で51・42%にすぎない。残りの半数は信任しなかったのだ。

◇◇小泉自民党は、野党を弱体化させて勝ったわけではない

 国会での勢力分布については、与党内部からも「勝ちすぎ」「暴走の危険」の声が
出るほど自民党の勢力が強大になった。が、民意は拮抗している。その拮抗状態が、
議席に反映されなかった理由の一つに、与党側の緊密な連携と比較して、野党側には
十分な連携がなかったことを挙げておくべきかもしれない。

 それでも、自民党と公明党以外は、小泉内閣の郵政民営化法案には反対の姿勢で一
致している。今後の柔軟な、ネットワーク型あるいはマトリックス型の共闘関係を期
待したい。野党に、適宜変幻自在の連携をしながらも各党の個性を失わない、あるい
は相互に違いを認め合う度量がみえはじめたとき、安心して政権をゆだねられる環境
が整ってくるに違いない。

 選挙制度と票数のちょっとした上積みを実現した小泉政権が、テコの原理で衆院の
3分の2超の議席を獲得したからといって、野党を弱体化させて勝ったわけではない。
拮抗した世論を無視した強硬な姿勢をとれば、それは次の選挙を呼び寄せることにつ
ながっていく。その機会に逆バネとなって、自民・公明両党に跳ね返ることになるだ
ろう。

 変革のビジョンも打ち出せない小泉政権に未来はない。郵政民営化にしても、国の
財政が破綻するなか、民営化させねばならない事態を隠蔽しようとしている可能性も
ある。また、ついでにいえば、今回、小泉流が人気を得たとされている「過去の支持
基盤」の放棄は、なんのことはない、政党助成金があるからこそできたことであり、
逆に政党助成金なしには成立できない党へと弱体化の歩みを進めたともいえる。

◇◇メディアは政治との馴れ合いを脱し、本格派のジャーナリズムを

 マスメディアは自民党が絶対多数を確保したことで、萎縮する必要はない。逆に、
これまでよりずっとモノがいいやすくなるはずだ。日本のメディアは、強い自民党が
いてこそ安心して批判もできるという、古臭い体質を今度こそ脱皮する必要がある。
自民党もそこから抜け出さねば、本当の党改革はできない。もちろん野党も同様であ
る。

 今回の総選挙は、日本の民主主義を根底から問うものであった。そしてその結果は、
小選挙区比例代表並列制という選挙制度を選挙民がまだ自分のものにしていなかった
ことも含めて、まさしくその必要性と時期の到来を浮き彫りにしている。

 マスメディアの小泉劇場礼賛報道は、日本のメディアが世界から孤立した内向きの
論理で動いていることをさらけ出した。しっかりしたメディアなしに、日本の政治は
変わらない。日本の政治の変革は、待ったなしの情況にある。メディアはいまこそ政
治との馴れ合いを脱し、世界に通用するジャーナリストを育成・輩出し、本格派のジャ
ーナリズムを構築する必要に迫られている。



posted by PPFV at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 不定期日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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