2005年09月22日

[JCJふらっしゅ]NHK 視聴者を敵にまわしかねない「新生プラン」を発表

JCJふらっしゅ 2005/9/21号
http://blog.mag2.com/m/log/0000102032/106442890?page=1#106442890

Y・記・者・の・「・ニ・ュ・ー・ス・の・検・証・」

□■NHK 視聴者を敵にまわしかねない「新生プラン」を発表 

 NHKは20日、経営改革計画「新生プラン」を発表した。21日午前0時半まで
に2273件の意見が寄せられた(電話1261件、メール940件、ファクス72
件=読売新聞)。20日午後9時15分から放送の総合テレビ特別番組「NHKは変
わります」の視聴率は5.0%(関東地区)だった(ビデオリサーチ調べ)。

 また発表同日、NHK受信料支払い停止運動の会(醍醐聡東大教授ら共同代表)は、
撤回を求める申し入れ書を橋本元一NHK会長らに送付した。「NHKは政治介入に
迎合し、公共放送に求められる、自立した公正な放送を提供しなかった」(共同通信)
と、従軍慰安婦番組の改編問題における対応を批判し、受信契約の一方の当事者であ
るNHKが債務を履行しない以上、視聴者側が受信料支払いを保留するのは正当と主
張する内容だ。

 不払い増加の責任を視聴者の不公平感に転嫁するのではなく、政治家に対する番組
の事前説明の禁止をNHK倫理・行動憲章に掲げるようあらためて要望している。

 NHKは「新生プラン」の「公共放送の使命」として、「何人からの圧力や働きか
けにも左右されることなく、放送の自主自律を貫く」ことを掲げているが、特集番組
改変・政治介入問題については、「なかった」の一点張り、その間のやりとりで浮上
した政治家への「ご説明」が日常化していた問題についても明確な訂正も新たな方針
も示しておらず、説得力がない。

 05年6月、番組制作の職員有志が経営陣に対して、政治家と距離を置き、放送の
独立を確保すること、個別番組の内容に関して政治家への説明は行わない、とする表
現を「NHK倫理・行動憲章」に盛り込むよう提言を行っている。

 橋本会長は会見で、「政治圧力によって(報道内容を)変えていない。圧力に屈し
ないといくら説明しても疑いを持たれてしまった。重く受け止める」(毎日新聞)と
し、「(新生プランは)結果的に若手有志の声に応えたといえば応えたものだ。思い
は同じだ」と語っている。

 この点について毎日新聞が、NHKのOBの蓑葉信弘・日本女子大非常勤講師(マ
スメディア論)のコメントを載せている。
 「BBC(英国放送協会)は、鋭く政府と対立してきたことから視聴者の信頼度が
高い公共放送として知られている」と指摘。そのうえで「『放送の自主自律を貫く』
と立派なことを書いているが、実際にどう貫くかの具体策や、過去の疑惑への説明が
ないことが不満だ。これでは、視聴者の信頼をつなぎとめておくことは難しい」
 ――同感である。


◇◇視聴者無視の縮小均衡策だけで、再生はできない

 NHKの「新生プラン」は、一連の不祥事で信頼を失ったNHKが、今後の改革の
基本方針としてまとめたもの。冒頭で「すべては視聴者のみなさんのために」と視聴
者第一主義を宣言し、「受信料を広く負担してもらっている公共放送だからこそ、視
聴率や主義主張にとらわれることなく、番組制作を行うことができる」(時事通信)
として、受信料の必要性を強調している。

 失った信頼を取り戻すことを最優先課題としつつ、「受信料の公平負担」の徹底を
強調し、不払い対策として裁判所での法的手続きによる支払い督促を行うことを明言
する内容となっている。ほかに、来年度から3年間で職員の1割に当たる約1200人
の削減、教育テレビの24時間放送の見直しなどを打ち出した。

 朝日新聞は、新生プランの骨子を以下のように整理している。

 ■NHK新生プランの骨子
〈使命〉何人からの圧力や働きかけにも左右されず、放送の自主自律を貫く
(1)視聴者第一主義に立って“NHKだからできる”放送を追求する
・迅速で的確な災害緊急報道、教育福祉番組の充実
・地域社会の発展に貢献する地域放送と全国発信
(2)組織や業務の大幅な改革、スリム化を推進する
・番組制作力強化に重点を置くための部局の統廃合、管理部門の縮小
・06年度から3年間で全職員の10%、1200人を削減
(3)受信料の公平負担に全力で取り組む
・単身赴任者や学生の料金割引制の新設
・口座振替利用者、長期支払者に対する優遇措置
・受信料未払い者に対する民事手続きによる支払い督促の活用

 このうち1200人の人員削減は、定年退職による自然減と採用抑制、関連会社へ
の転籍や出向によって実現を目指すという(毎日新聞)。

 また、受信料の不払いに対する督促導入の最大の理由を「受信料の公平負担」にお
いている。督促手続きには最低1件当たり250円の費用(切手代除く)がかかると
され、すべての不払いに支払い督促をかけるのは「財政的に困難」(NHK幹部)。
橋本元一会長も「一斉にやれるとは考えていない。(受信料の必要性を)説明し尽く
してから」と応えた。

 約958万世帯に上るとされる未契約者への督促では、未契約者がテレビを持って
いるかどうかを証明しなくてはならないが、NHKには調査権限がない。

 NHKの推計によると、
(1)受信料支払い拒否・保留件数=05年9月末で130万件に達する見通し、
(2)放送法で受信料支払い義務がある全世帯・事業所の29.5%が支払っていな
 い、
(3)一連の不祥事とその後のNHKの対応などを理由とする以前からの滞納=13
 9万件、
(4)受信契約は結んでいるが、口座の解約などによって徴収できていない=約13
 0万件、
(5)放送法で定められた受信契約をしていない未契約=9月末で958万件
 受信料の支払い義務のある約4596万件のうち、1357万件が何らかの形で払
っていないことになるという(毎日新聞)。今のペースで支払い拒否・保留件数が増
加すれば年間500億円が不足するという。そこで人員削減や督促の方針が出ている
というわけだ。


◇◇まず話し合うべきは、NHKを支える視聴者である

 麻生太郎総務相は20日の記者会見で、NHKの簡易裁判所を通じた督促などの法
的措置検討について「一つの方法だと思う」と述べて、一定の理解を示した。麻生総
務相は「払っても払わなくても一緒なら、払わなくてもいいという理屈はよろしくな
いと思う」とも語っている(毎日新聞)。

 だがNHKは公共放送である。国や行政や、あるいは国会がどこまで、どのように
関与するか、それをどこまで許すかという問題がある。NHKの腐食の根源には、国
会における予算承認の問題がドンと座っている。経営委員の任命も総理大臣名で行わ
れる。NHKはどこを向いているのか、お上か、視聴者かとの問いこそが、支払い拒
否・保留件数の増大に直結している。

 端的にいえば、支払い拒否・保留件数の増大に歯止めをかける最も有効な手立ては、
支払い拒否・保留を行っている人々が、NHK料金を支払おうといって立ち上がり、
みんなに呼びかける情況をつくり出すことだ。NHKはそれをやろうとしないで、逃
げている。

 「NHK受信料支払い停止運動の会」のような団体が全国にいくつもできているが、
それら視聴者の団体を、外部圧力団体と決め付けて木で鼻をくくったような対応をし、
話し合いをせず、求められていることに正対しないとすれば、反発が強まるのは当然
であろうし、解決の道筋もみえてはこないのは必定だ。

 それどころか、簡易裁判所を通じた督促などの法的措置をとりはじめれば、全視聴
者を敵にまわすようなものである。視聴者が自らの公共放送を守り発展させることを
放棄すれば、NHKに未来は国営化や民営化にむけてまっしぐらとなるだろう。

 それでいいのだろうか。公共放送だから、NHK職員になることは、地域社会から
マスメディアに代表選手を送り込むことを意味していた。配属先にかかわらず、「み
んなの代表で番組づくりにかかわるのだから、いい番組をつくってよ」という応援に
直結していた。

 その地域社会のつながりが稀薄となり、NHK職員はただのサラリーマンの一人で
しかなくなっているのだとしたら、そのつながりの再生、再構築こそめざすべきもの
ではないだろうか。NHKは、いま起きている支払い拒否・保留の増大の本質を見誤
ってはいけない。

 味方につけるべき人々を遠ざけ、メディアとして距離を置くべき人々に寄り添えば、
NHKはNHKでなくなっていく。国会での審議や政治家の対応よりも、NHKがま
ず話し合うべきは、NHKを支える視聴者である。それを基盤にしなければ「新生プ
ラン」は、深められることも揉まれることもなく、ただの「プラン」で終わってしま
うことになる。


時事通信 NHK新生プランに意見2300件=特番視聴率は5%
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050921-00000046-jij-soci
読売新聞 NHK新生プラン、視聴者から反響2000件超
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050921-00000505-yom-soci
共同通信 法的措置の撤回を要求 支払い停止の会が申し入れ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050920-00000165-kyodo-ent
時事通信 不払い対策で法的措置へ=視聴者第一主義強調−職員1割削減も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050920-00000081-jij-soci
朝日新聞 受信料「督促」盛る NHKが新生プラン、職員1割減も
http://www.asahi.com/culture/update/0920/019.html



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