2007年03月22日

理想の結晶「9条」を守るためには理想を捨てよ?

山口二郎氏「週刊金曜日」での発言に続いて「マガジン9条」での発言。基本同様の論調であるが「日本共産党」に対する論調がややソフトになった観がある。かわりに「日本共産党支持者」あるいは「強硬な護憲派」には『大人になれ』『変なアマチュアリズム』となかなか手厳しい。

緊急提言 選挙は結果が全て。戦略的に考えて投票しよう。(マガジン9条 2007/3/21) 
http://www.magazine9.jp/saito/index2.html

石原再選への危機感はわかるが、それにしてもあまりに粗雑な緊急提言ではなかろうか。
正直、何だかうんざりしている。何でこうも勝手な論理をもって「大人になれ」だの「アマチュア」だのエラそうに言われなあかんのか。
まだ「イシハラ」の方が潔くてマシのような気さえしてくる。
案外、政治になんかあまり関心のない「無党派層」とやらも、そんなところじゃないのか。

申し訳ないが、そもそも、私の場合「石原を倒すこと」が第一の目標なんかではないし、地道な活動や理想を嗤う態度も気に食わないし・・・とつらつらそんなことを考えてたら、ん?何か前にもこんなことがあったぞ・・・デジャヴ。
ああ、「STOP THE KOIZUMI」だ。
小泉打倒に一点集中し民主党に票を結集せよ!という話だった。邪魔する共産党はけしからんという話しだった。
もちろん私は反対。何しろ「STOP THE KOIZUMI」の掛け声と地道な活動への罵倒だけで「KOIZUMI以後」の論議のなんと粗雑なことか。「打倒石原」の掛け声ばかりの今の状況とよく似ている。
で「STOP THE KOIZUMI」はどうなった?STOPせずとも小泉氏とっとと辞めてしまったが「STOP THE KOIZUMI」の目標は達せられたのか。
そして彼らが嗤った地道な活動は変わらず続けられてきたしこれからも続けられるのである。

今回の山口氏の緊急提言にはいちいち反論する気力もないが、この提言が掲載されたのは何しろマガジン9条のHPであるので一点だけ。

 そうした時に、自分たちこそが「一番正しい護憲派だ」「あれはインチキな護憲だ」などという議論を絶対にしちゃいけない。それはあまりにもリアリズムの欠如です。いろんな護憲があっていいんです。守るべき最後の一線だけは共有しておけば。「憲法9条は変えない。」「集団的自衛権は認めない。」「自衛隊は海外で武力行使はしない。」それだけで十分でしょう。


その最後の一線はきちんと担保されているのか?浅野氏で。
マガジン9条の編集部の方にも苦言申し上げたい。
悲しいかな、ここはマガジン9条のHPである。理想を嗤っていていいのか。理想なくしては守るべき9条も生まれなかったはずである。理想を嗤いながら一体何を守ろうというのか。
今日も駅頭で「9条を守ろう」としている人たちがいる。共産党と何らかの関わりをもつ人も少なくないはずだ。戦略戦術などという言葉に惑わされて「マガジン9条」自ら、結果彼らを嗤ってしまったことはまことに残念だ。

ところで「戦略的投票」とやらが根付いているというイギリスの政治状況ってどうなの。

《関連エントリー》
[YamaguchiJiro.com]反石原の統一戦線を
http://ppfvblog.seesaa.net/article/35899886.html
posted by PPFV at 17:45| パリ ☁| Comment(9) | TrackBack(7) | 不定期日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>その最後の一線はきちんと担保されているのか?浅野氏で。

鋭い!
なかなか更新のままならないニッパチですが、この一言には読後の清涼感を覚えます。
Posted by ニッパチ at 2007年03月22日 22:54
マガジン9条の編集部も山口先生も憲法第9条を守ろうと主張しているのが誰か、判って執筆し、掲載したのか、不思議ですね。
山口先生は大間違いをしている。「自民党と民主党は大連立はない
って言ってるが、大ウソです。憲法改悪の手続き法案の地方公聴会開催は大連立だった!それ以外に国会内では国民生活破壊の悪法にも大連立してきたことを隠している!

こんなことでは憲法第9条は守れないだろう!

民主党の中にも左も右も真ん中もいるって言って、民主党が悪法や悪条例制定に自民党と大連立してきたこと、今「左になっている」ことが、民主党の独自の判断かというと、決してそうではなく、共産党が頑張っているからだろうってことが、政治学者には見えないらしい!9日の都議会における共産党以外の政党のとった行動が見えないか、黙殺している。都議団のHPを見れば明瞭なのに・・。
Posted by コミュニスト at 2007年03月22日 22:55
PPFVさん、

>自分たちこそが「一番正しい護憲派だ」「あれはインチキな護憲だ」などという議論を絶対にしちゃいけない。

このような議論はいつ、どこでされたのかな?
山口先生が勝手にそう感じてるのではないでしょうか。
Posted by 木綿 at 2007年03月23日 00:42
ニッパチさん、お忙しいようですね。無理されませんよう。

まったく。私のようなド素人が考えてもおかしいと思うのに、政治学者ともあろう方が。不思議なもんです。
Posted by PPFV at 2007年03月23日 19:10
コミュニストさん

山口二郎氏みずから言われていますが、民主党に甘い。いや「甘い」どころではありませんね。明らかに事実を捻じ曲げているとしか思えません。
Posted by PPFV at 2007年03月23日 19:14
木綿さん、コメントありがとうございます。

そうですね。
山口氏自身後ろめたいところがあるのかな。
お互いまっとうな批判は必要だと思います。
感情的な批判をするのはせいぜい「私」くらいなもんです(笑)
Posted by PPFV at 2007年03月23日 19:21
初めまして。いつも小気味の良いコメントを楽しませていただいております。
学校では教えてくれなかった近現代史を知りたくて通った歴史の教室には、六十才以上の方々が9割いて、その中でも各地の9条の会で活動している方がほとんどでした。
皆さん、日本がどのようにして軍事国家へと歩んでいったのか、他国に何をしたのかを知るために参加したと仰って、このままでは日本が戦争をする国になってしまう、子ども達を戦場に送ってしまうと真剣に憂えていました。
毎月9のつく日には駅頭で署名をしたり、手作りの9条グッズを作り、「日本の青空」撮影のために協力券を普及したり、勉強会を主催したり。二度と戦争を起こしてはならないとの思いから、自分にできる行動を続けています。
半年間机を並べましたが、たとえ立場や支持政党が違ったとしても、同じ9条を守る同志として一緒にがんばりましょうと喜ぶ方々だと思いました。私もずいぶん考えさせられました。
Posted by hana at 2007年03月26日 22:40
hanaさん、はじめまして。
まことに嬉しいコメントありがとうございます。
なによりそのような行動をされている方からコメントいただいたことが嬉しいです。本来、平和を希求するもの同士共にがんばらねばと自省することもしばしばですが、残念ながらそれを嗤おうとするものの言動がどうにも許し難いこの頃です。私の身近にもhanaさんと同様の行動をしている人がいますが若者の関心度は巷の噂とは違い目を見張るものがあるそうです。何かとお見苦しい点もあるかと思いますが、また是非おいでください。今後ともどうぞ宜しくお願いします。
Posted by PPFV at 2007年03月27日 01:09
>>自分たちこそが「一番正しい護憲派だ」「あれはインチキな護憲だ」などという議論を絶対にしちゃいけない。

>このような議論はいつ、どこでされたのかな?
山口先生が勝手にそう感じてるのではないでしょうか。

よくありましたよ。そんな議論は。わかりやすいのは、「憲法改正」などと言うこと自体が間違っているという意見が堂々とまかり通っていましたし、それに対して山口二郎自身が「ぼやき漫才」と揶揄していましたね。

鶴見俊輔は、今の護憲はハリボテと貶していました。

詳細は拙ブログにて
http://anti-antijapan.com/modules/nmblog/response.php?aid=39


Posted by 静流 at 2007年03月28日 04:19
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